格ゲーから学んだこと
- 2020.05.25
- ゲーム
はじめに
3月以降コロナウィルスの影響であまりにも暇になってしまったので、PS4でストリートファイターVとかDead by Daylightを始めたりしました。
PS4のみでライブ配信ができるようだったので、先日始めてみることにしました。
これからもちょくちょく配信は続けると思います。
ストリートファイターVを上手くなるために、Youtubeで色んな人の対戦動画とか攻略動画を見るようになったのですが、そんな中で世界的にも有名なプロゲーマーの梅原大吾さんの対戦とかトークとかが何度も目に入って来ました。
そんな時、ふと家の本棚を見るとかなり前に読んだ梅原さんの本「勝ち続ける意志力 (小学館101新書)」が目に入って来ました。
気になって読み始めると面白すぎて一気に読み終わりました。
この本の中で 、梅原さんはゲームに感謝していると書いていましたが、ぼくもゲームから学ぶことはたくさんあったので、本当に感謝しています。
この機会に、ぼくが格闘ゲームから学んだことをまとめてみようと書き始めてみました。
もしかしたら梅原大吾さんの「勝負論 ウメハラの流儀 (小学館新書)」と内容がかぶるところがあるかもしれません。
ぼくが格ゲーにハマった時期
ストリートファイターシリーズとかKOFシリーズとかに代表されるような形のゲーム全般を格闘ゲーム(格ゲー)と言います。
ぼくが格ゲーを始めたきっかけは、小5か小6くらいのときに兄に連れられて、同志社大学今出川キャンパスの目の前にあったゲームセンターGOLDに行ったことです。
今はもうGOLDはなくなっていた気がします。
なぜか当時ジュースが無料だったから、ジュースを飲みたくて行っていた気がします。
ゲームセンターは小学生が行くような場所ではなかったので、大人ばっかりの中で少し怖かった記憶があります。
その一方で、なんだか異世界に入ったようなワクワク感がありました。
始めた当初は兄の方が圧倒的にうまくて、兄に勝ちたくて必死で練習していました。
親にネオジオCDとか初代PlayStationとかを買ってもらって、様々な格闘ゲームを家でやるようにもなりました。
中学生のときは、KOF、餓狼伝説、ストリートファイターZEROあたりを兄とめちゃくちゃ対戦したと思います。
どっぷりハマるきっかけになったのは中3のときにたまたま見ていたテレビの深夜番組だと思います。
ストリートファイターZERO3の全国大会を放送していて、梅原大吾さんが決勝戦で一度も攻撃を食らわずにパーフェクト勝ちをしていたり、アメリカのチャンピオンを倒したりしている姿を見てめちゃくちゃ興奮したのを今でも鮮明に覚えています。
この番組のせいもあってか一番ハマった格ゲーはストリートファイターZERO3でした。
高1~2のときにストリートファイターZERO3の全国大会に何度か出場もしました。
この頃が一番格ゲーに時間を費やしたし、成長した時期だったと思います。
残念ながら大会では全然結果を残せませんでしたが、確実に上手くなったという実感はありました。
高3あたりから受験だったり色々あって格ゲーをとことんやり込むということがなくなり、大会に出ることもなくなってしまいました。
だから、高1~2あたりがぼくの格ゲーレベルがピークのときだったと思います。
今はすっかり衰えてしまったんですが、その当時身に付けた考え方などを以下に書いていきます。
格ゲーから学んだこと
格闘ゲームをやり込んだことのない人からすると、相手に連続して攻撃を当て続ける連続技(コンボ)で大ダメージを与えられる人が強いという印象をもっているかもしれませんが、半分正しくて半分間違っています。
連続技に至るまでのプロセスが大事だったり、連続技などなくても勝負が決まったりします。
じゃあどうやって勝つのかというのは、それぞれの格ゲーで色んな戦術があったりするのですが、共通して身に付けた考え方があります。
それを以下に書いていきます。(当たり前のことばっかりですが、なかなかできていなかったりします。)
仮説を立てて検証する
全国大会に出てくるようなプレイヤーのレベルになると、これやっとけば勝てるみたいな単純なものは存在しません。
だから「こういう相手にこういう状況でこういう行動をとると比較的強い」というような細かい話になってきます。
じゃあその比較的強い行動をどうやって見つけるのかというと、攻略本や攻略サイトを見て学んだりもするのですが、最終的には自分でやってみて検証する必要が出てきます。
また、より強くなるためには、攻略本や攻略サイトに頼らず自分で戦術を作り出さなければなりません。
そのときに必要なのが、「仮説を立てて検証する」ということです。
こういう相手にこういう状況でこういう行動をとると比較的強いんじゃないかというのを自分で仮説を立ててみて、実際に対戦で試して検証していくわけです。
そうするとほとんどの場合が、相手にうまく対応されて、強いと思っていた行動が機能しなかったりします。
そこでまた新たな仮説を立てて、より強い行動がないか検証していきます。
これの繰り返しでより強い戦術が生み出されていきます。
とりあえずやってみる
立ててみた仮説がうまくいくか悩むよりもとりあえずやってみたらわかることの方が本当に多いです。
対戦中は一瞬一瞬が大事になってくるので、深く考えている時間はありません。
これでうまくいくかもしれないと考えた行動があれば、とにかく積極的に「やってみる」ことが大事です。
でもそれ以前に仮説も何も浮かばないときもありますが、そういうときはとりあえず「色々やってみる」ことが大事だったりします。
色々やってみることで、思わぬところで良い戦術が生まれることも多いです。
違和感に気づくことが大事
ただがむしゃらに色々やってみるだけだと何も生み出せないことも多いです。
色々やってみて、うまく行ったり行かなかったりするのですが、なぜうまく行ったのかなぜうまく行かなかったのかというのを考えていくことが大事です。
考えるだけじゃなくて「気づく」というのが本当に大事だったりします。
色々試していく中で、「ん?これは何だろう?」と何か違和感を感じる瞬間があったりします。
これは自分の行動を見て感じるときもあれば、対戦相手の行動を見て感じるときもあれば、誰かが対戦しているのを見て感じるときもあります。
新しい発見をするときは論理的なプロセスで起こらないことも多いです。
最初に違和感を感じて、後から理由付けをしていく中で、新しい戦術が生まれたりします。
例えば、格ゲーにおいてニュートラル(上下左右どちらにもレバーを動かさない状態)にするというのは攻めも守りもしない全く意味のない行動だと思うのが普通なのですが、梅原大吾さんはあえてニュートラルにするという時間を作るということを何度もしました。(下の動画の中にありますが、長いので気になる方だけ見て下さい。)
格ゲーをやり込んだことのある人からすれば見た瞬間に「なんだこれは!?」という違和感しか抱かないと思います。
この例はわかりやすい違和感ですが、もっとわかりにくいものでも何か感じたものは忘れずに覚えておくかメモすることが大切になります。
「とっかかりを見つける」という感じです。
見てから反応していたら遅い
見てから反応するという感じでプレイしていると反応が遅れることがあります。
梅原大吾さんが言ったのか言ってないのかわからない「小足見てから昇龍余裕でした」という話ではありません。
例えば、相手が飛び込んで来たら昇龍拳を打とうと思っていても、実際はなぜか反応できないということが起こります。(上級者の試合でも起こっています。)
なぜこういうことが起こるのかというと、そのタイミングで相手が飛び込んでくると思っておらず、別のことに意識が向いていて、意識を切り替えるのに時間がかかって、結局昇龍拳が間に合わないということです。
逆に余裕で入力が間に合うときというのは相手が飛び込んでくると予想できているときです。
だから、「単純に見てから対応する」よりも「相手の次の行動を予想しておいて相手がこう来そうだから、そのときはこうする」という考え方の方が余裕を持って反応することができます。
相手の次の行動を予想するというのは経験で身に付けるもので、100%の確率できることではないですが、レベルの差があればあるほど予想的中率は上がって、その積み重ねが圧倒的な差になります。
梅原大吾さんが「足払いを食らわないように(しゃがみガード)するためには、相手がしゃがんだらしゃがめばいい」という意味のわからないことを言っていました。
これを言葉通りにとらえると間に合うわけないやん!っていう話なのですが、これは「相手の次の行動がしゃがみだと予想していたときに、実際しゃがんできたらこちらもしゃがむ」ということだとぼくは解釈しています。
予想ができたときは予想できなかったときよりも遥かに早く対応できます。
予想は経験によって的中率が上がるのですが、的中率を上げるための方法の一つが次のことです。
相手の選択肢を制限すると次の行動が読みやすい
漠然と数ある選択肢の中から相手の次の行動を読むというのは神にしかできません。
相手の次の行動を読みやすくする方法の一つが、相手の選択肢を制限するようなことをやっていくということです。
例えば、相手の一番リーチの長い技が届く間合いの外側で波動拳を打つと、相手がどんな技を出しても波動拳に潰されて、前進しても波動拳に潰されるということが起こります。
相手が何度も波動拳につぶされてしまったということを経験すると、攻め込むには前ジャンプしかないと考えるようになります。
相手をこの心理状態に持っていくことができれば、相手の次の選択肢は前ジャンプしかありません。
そこでしっかり待ち構えて昇竜拳で撃ち落とします。(鳥カゴと言われるものです。)
相手の行動を制限して、相手の少ない選択肢のすべてに対応することができれば、相手はもう何をしていいのかわからない状態になります。
実際にはそこまでうまく行きませんが、「相手の行動を制限していくと次の行動が読みやすくなる」という考え方があるとないでは全然結果が違ってきます。
上級者は、深く考えていなかったとしても無意識でこれをやっています。
レベルの差があればある程、レベルが下の人は何をやっても潰されるという状態になり、心理的にも圧倒的な敗北感を抱くことになるでしょう。
リスクリターンを考える
リスクが小さくてリターンが大きいのがいいというのも格ゲーから学んだことです。
例えば、リュウの電刃波動拳という技は大ダメージを与えられる技で、もしもガードされたとしても反撃されることもなく、技の出かかりに無敵時間(相手の攻撃を受けない時間)があります。
まさにローリスクハイリターンな技です。
上で説明した波動拳の使い方は実は、与えるダメージの上ではハイリスクローリターンになります。(相手に与えるダメージは小さくて、相手に飛び込まれたら大ダメージを食らう可能性があります。)
相手に与えるダメージと自分が食らうダメージだけを考えると、波動拳は打ってはいけないということになりますが、そんなことはありません。
心理戦に勝って波動拳を何度も相手に当てることができれば、心理的なリターンがものすごく大きいです。
ダメージ、隙の大きさ、対応しやすいか、行動を制限しやすいか、戦略が立てやすいかなど様々なことを考慮してリスクリターンを考えて行きます。
ぶっちゃけめちゃくちゃ難しいです!
集中力が上がると相手の動きがゆっくりに見える
スポーツの世界で「ゾーンに入る」という言葉があるそうですが、似たようなことが格ゲーでもあります。
「ゾーンに入る」とは集中力が高まってすべてのパフォーマンスが向上する状態のことです。
ぼくは何度か体験したことがあるのですが、なかなかこの状態になることがなくて、どうやったらこの状態に持っていけるのかはわかりません。
集中力が高まると、時間の感覚がゆっくりになって、相手の動きが非常にはっきりと見えて、相手の次の行動も予想しやすくなります。
緊張感とリラックスのバランスが程良くて、焦ることがなく、非常に冷静に分析できるようになります。
この状態で相手が格下だと、相手の考えがどんどん読めるようになるので、負ける気がしません。
ゲームと自分が一体となるような没入感覚を味わいます。
何と言うか、気持ちイイです!
やり込んだ先にある不思議な世界です。
この経験をできただけでも格ゲーやってて良かったなと思います。
練習は分割してするのが効果的
これはマジックとかジャグリングをやるときにも応用している練習方法なのですが、分割して練習するということです。
例えば、リュウで「ジャンプ大パンチ→しゃがみ大パンチ→大昇竜拳」という連続技(コンボ)をうまく入力できなかったとして、どうやって練習していくのかを説明していきます。
まず、昇竜拳自体を確実に出せない場合は昇竜拳だけを練習します。
次に「ジャンプ大パンチ→しゃがみ大パンチ」と「しゃがみ大パンチ→大昇竜拳」を分けて練習します。
それぞれ20回やったら20回連続ヒットさせられるようになるまで練習します。
最後に、 「ジャンプ大パンチ→しゃがみ大パンチ→大昇竜拳」 という一連の流れを20回やったら20回連続ヒットさせられるようになるまで練習します。
いきなり一連の流れをやるよりもはるかに効率よく成功率を高められる練習方法だと思っています。
本番では無理して難しい連続技をやらない
この話はマジックとかジャグリングとかでも大事な考え方です。
自分が今持っている武器は何かというのを理解して、その武器だけで戦うというのが大切になります。
難しい連続技を実際の対戦で決めたいという気持ちはすごくわかるのですが、対戦においては一か八かの連続技は役に立たないことが多いです。
決めることができればいいのですが、毎試合挑戦しては失敗ということを繰り返すと、相手にダメージを全然与えられないだけでなく、大きな隙ができてしまったり、心理的に不利になったりします。
安定して入力できる連続技に絞ってやることにすれば、安定してそこそこのダメージを与えることができる上に、心理的にも安定して戦うことができます。
その一方で、遊び心も大切にしたいので、たまには難しいのに挑戦してみるというのはアリだと思っています。
一見すると分かりにくいところで勝負が決まる
格ゲーは一見すると分かりにくいところで勝負が決まったりします。
例えば、「間合い」というのがストリートファイターシリーズでは非常に大事になってきます。
相手のキャラクターや戦術などの相性によって有利な間合い、不利な間合いというのがあり、自分が有利な間合いを長く維持できれば勝てるし、相手の有利な間合いを長く維持されると負けるということが起こります。
ほんとにわずかな距離の違いで勝負が決まったりするのですが、こういうことは始めたての頃は全く分かりませんでした。
ぱっと見て分かりにくい部分だからです。
これを理解するためには上にも上げた「気づく」ことが大事になります。
色んな対策を考えた上でなぜか勝てないという状態に陥った時は、意外な盲点があるのかもしれないので、一旦距離を置いてみて広い視野で見るのが大切です。
さいごに
なんかもっとありそうな気がしますけど、とりあえずぱっと思いついただけでもこんなにありました。
これを書いていて、格ゲーを通してかなり成長させてもらえたんだなぁということを改めて実感しました。
上に書いたことで、今の生活に生かせていないこともあったりするので、見直すいいきっかけにもなりました。
ぼくの価値観で人生に必要なものの一つは「成長」なので、一日一日の小さな成長を喜びながら生きていきたいと思います。
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